北のバイク整備隊

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北海道という土地を意識した中で、北海道在住のライダーおよび夏を中心として北海道を訪れる道外ライダーに対して、安全で快適に走るためのバイクメンテナンスおよび点検についてレクチャーする。

世の中のインターネットには、国境も県境もないので、現状では同じようなバイク整備に関するサイトや記事というのは山ほどある。わざわざ、これと同じことを追従する必要は基本的にない(そちらのサイトを見てもらえばよい)というベースの考えから、“北海道ならでは”にこだわり、5回程度の連載でメンテナンスについて考えます。   <連載文提供 ライター:田宮 徹氏>

  1. 連載1「北海道を楽しむために基本的な整備を学ぶ!」

    北海道をバイクで走る。それは、日本でもっとも雄大な土地を楽しむということです。しかし、広くて自然に囲まれた北海道を走るからこそ、気をつけておかなければならないこともあります。

    例えば北海道では、一般道のみを使うツーリングにおける走行距離が、信号が少なくて走りやすい道が多いことから、本州などに比べて長くなりがちです。道外から訪れるライダーはとくに、出発する前にタイヤやオイルなど消耗パーツの交換時期をしっかりと把握して、ツーリング途中に交換時期がなるべくこないように調整する必要があるでしょう。また、これは北海道に限ったことではないですが、ロングツーリングにでかける場合、チェーンの調整や各部の注油などに必要なアイテムを、ある程度は持ち歩くことをお薦めします。

    北海道の場合、もっとも近いバイクショップが数十kmも先にしかないとか、札幌や旭川などの大きな都市以外ではパーツ在庫が本州と比べて少ないなんて可能性もあります。チェーンの調整やヘッドライトバルブの交換、パンク修理などは、自分でできるほうが圧倒的に便利で安心です。

    これ以外にも、北海道だからこそ気をつけておきたいバイク整備の基本事項というのはあります。例えば、融雪剤への対処。バイクの場合、雪が積もっている時期に乗ることはほとんどありませんが、それでも初春や晩秋に融雪剤が撒かれた道を走ることもあります。塩化系化合物を含まない酢酸系の融雪剤が使われていることもありますが、塩化系の融雪剤が付着した状態でバイクを放置すると、サビの原因にもなります。つまり初春や晩秋の北海道では、水洗い洗車こそがバイク整備の基本ということになるかもしれません。

    北海道には、風を感じながら走れる爽快な道が、山のようにあります。しかしそれらの道も、愛車の状態が良好でなければ、まったく気持ちよく駆け抜けることはできません。今後このサイトを通じて、自分でできる簡単なバイクメンテナンスについても、一緒に学んでいきましょう!

  1. 連載2「愛車の超基本的な点検をしてみよう!」

    いよいよ北海道にも春が到来。ようやくバイクに乗れる季節がやってきました。「ここから秋まで、ガンガン乗ってやる!」と意気込んでいる道内ライダーも多いことでしょう。

    しかし、愛車を冬眠から目覚めさせるときに、いきなり昨秋のイメージで走り出したのでは、危険なことがいっぱいあります。「ただガレージで寝かせていただけだし……」と思うかもしれませんが、その間にもエンジンオイルやタイヤなどが劣化したり、場合によってはサビの発生などによってパーツに不具合が発生したりしている可能性もあるからです。

    そのため冬眠明けのバイクは、一度しっかり点検を行ってから楽しむことをお薦めします。もしもご自身での点検に自信がないようなら、整備代金は必要ですが、バイクショップを頼りましょう。

    とはいえ、冬眠明けのバイクに限らず、「苦手だからと遠ざけないで、せめて少しくらいは自分の力で愛車の点検を!」というのが、私たちの願いです。そもそも愛車の日常点検は、法令によって義務付けられています。逆に考えれば、日常点検というのは覚えてしまえば誰にでも簡単にできる内容というわけです!

    では、日常点検ではどのようなところを見ればよいのでしょう?

    国内メーカーの推奨する点検項目を調べてみると、1)ブレーキのレバーやペダルの遊び、2)前後ブレーキの効き具合、3)ブレーキ液の量、4)灯火器類の状態、5)エンジンのかかり具合や音や加速の状態、6)エンジンオイルの量、7)冷却水の量(水冷エンジンのみ)、8)バッテリー液の量(メンテナンスフリーバッテリーは除く)、9)ドライブチェーンの緩み(シャフトドライブやベルトドライブは除く)、10)タイヤの空気圧や摩耗の状態など、という10項目が、おもなメニューとなっています。

    このうち、皆さんにとくに徹底してほしいのは、まずタイヤのチェック。二輪車というのは、タイヤのみで地面と接しています。つまりタイヤの不具合は、転倒に直結するからです。整備初心者のライダーは、「空気圧は適正か?」、「異物は刺さっていないか?」、「スリップサインはでていないか?」という 3 点に的を絞って、なるべく頻繁にチェックしましょう。

    また、愛車を快調に走らせるということで考えると、まず覚えてほしいのがエンジンオイルのチェック。バイクのエンジンは多くの場合、クルマよりも高回転を使用します。そのため、エンジンオイルに対する依存度も高くなる傾向。こちらは、「量のチェック」に加えて、「いつ交換したか?」も頭に入れておきましょう。基本的には、交換後に 3000km 走行または半年経過の、どちらか早くに到達したタイミングで、オイルを交換するのがお薦め。じつはエンジンオイルは、走行していない間にも、空気と触れることで少なからず劣化しているのです。これは、冬眠中でも同じですから要注意ですね。

    日常点検項目うち、冷却水やブレーキ液の量は、それぞれのタンク位置さえ見つかれば、あとはバイクを垂直にした状態で、そこにある「L(LOWER)」の表示より上に液があることを確認するだけ。これは簡単に覚えられます。ただし、メーカーの項目によくある「バッテリー液の量」は、密閉型が主流となった現在は無視しても大丈夫。その代わり、「セルの回り方が弱くないか?」とか、テスターがあるようなら「電圧は足りているか?」などをチェックしましょう。

    また、灯火器類のチェックも、「ヘッドライトが点灯しているか?」や「ブレーキランプやウインカーがすべて正常に作動するか?」を調べるだけなので、とても簡単です。

    そして忘れてはならないのが、ドライブチェーンの給油と緩みチェック。給油は、用品店などで必ず専用のチェーンルブを入手し、これをチェーンの上下部を中心にスプレーした後に、余分なルブをウエスで拭き取りましょう。あまり多く給油された状態で走行すると、車体やウエアが思いっきり汚れるので、注意して下さいね!

    またチェーンの緩みは、スプロケット間の中央部を手で上下に動かして、たわみが規定の範囲内にあるかを調べます。しかし整備初心者の場合、たとえ「緩んでいる!」と思っても、これを調整する工具がないことも多いので、疑問があればバイクショップに相談してみましょう。

    これは、ブレーキ関連の整備についても同じ。「効きが悪いなぁ……」とか「液が減っているぞ!」とか「レバーの遊びが多い!」とわかっても、これらの整備には知識がいりますし、シロウトがムチャして整備に挑戦してブレーキが効かなくなったら、シャレでは済みません。素直に、プロのメカニックにお任せしたほうがいいですね。

    さて、ここまで読んでいただいておわかりと思いますが、日常点検というのは当然ながら「点検」であって、なにも「自分で整備をしろ!」ということではないんです。もちろん、自分で工具を揃え、知識を蓄え、バイクいじりに興じるのも悪くありません。しかし、ただ乗っているだけでバイクは楽しい乗り物。「整備はぜ~んぶショップ任せ」でもいいんです。

    ただし、自分で基本的な「点検」ができないと、そもそもどのタイミングで整備のために愛車をショップに持ち込めばいいのかもわかりません。もしかしたら、点検をしなかったことで、愛車が乗りずらくなっていたり(タイヤの不具合によるこのようなオーナー車両をよく見かけます)、ちょっとした点検不足が大きなトラブルの要因になってしまったりするかもしれません。

    つまり、「法令で義務付けられているから」ではなく、「私たちがもっとバイクを楽しむために」、日常的な愛車のコンディションチェックが必要なんです。